BS1スペシャル 「改善か 信仰か~激動チベット3年の記録~」(前編)

天険の要害。1000年もの間、外部からの侵入を阻み、独自の信仰と文化が生まれた。中国人は貧しい辺境と呼んできた場所。中国共産党はこの聖地を改善する決定を下した。民衆の精神世界を変える。中国共産党という国家によって民族の1000年の歴史が変えられていく。

チベットの様子(2016年)

チベットの渇いた聖地、ラルンガル。仏塔と紅色の門。世俗の世界と信仰の世界を隔てる門。10000万人もの人が仏教を学ぶ仏教僧院。灌頂会(かんじょうえ)春、チベット全土から数万の巡礼者が集まる。祈りの声が聞こえた。僧侶を目指すものは出家する。女も男も結婚はせず生涯を修行に捧げる。チベット高僧「他人を害することなく自分を律しろ」

修行僧:ツェテン・トゥンドゥプ、10年間質素な修行の生活を送る。修行僧は信者からのお布施で暮らす。主食は野菜とコメだけで肉は一切食べない。殺生は一切しないことを守る。夜明け前、読経を始める真言を7000回唱え瞑想をする。この世のすべての生命に対し平等の慈悲の心を持つよう修行している。「菩提心」という。1980年にラルンガル・ゴンパ(仏教僧院)が開かれた。14歳の時に決心し、家を出て、ラルンガルンゴンパに来た。仏塔の間を歩き、聖地を目指した。

問答の修行:身体が衰弱し、修行ができなくなった弟ウガがいた。結核に侵され白い。肺の切除が必要であると医師から告げられていた。肉など栄養価の高い食事を摂る必要が会った。しかし、口にするのは野菜だけ。他者を害してはならない。自らにかしていた。肉を食べても毛皮を着てもそれは他の命を殺すこと。小さな虫の命も人間の命も平等なのだ。体力の回復と誓い(殺生しないこと)どちらが大切か。

チベットの歴史

1300年ほど前8世紀とされている。魂は仏の慈悲で救われる。仏が宿る大地で礼拝をする。1951年:文明化を掲げる人民解放軍はチベットラサにも進行。武力で鎮圧された・ダライ・ラマ14世はインドに亡命した。1966年:文化大革命:宗教を否定し、寺院は破壊された。1980年代:改革開放政策が始まり、寺院などは再建された。しかし、高度な自治を求めるチベット自治区と分離独立を警戒する中国政府の溝は埋まることはなかった。2008年:ラサ暴動:共産党への統治への暴動が始まる。共産党は武力でラサを完全に制圧。暴動は破壊活動だと避難した。数千の僧侶がラサを追われた。150人以上の僧侶が自らの身体に火を放った。

中国共産党の施策(間接的)

言語

修行僧:プンツォ・タシ、仏の教えを学んでいる。煩悩の妨げを取り払った人と煩悩により信仰を邪魔する人は同じか。仏教の信仰が100%ある。仏教には驚くべきほどの教えがある。環境や現代社会の問題の解決に大きや意味を持つ。平等な世界を作るために貢献したい。それに貢献した人のポスターを壁に貼っている。

街のチベット族との会合に招かれた。中国で生きるチベット族540万人、民族の行末をあんじていた。我々の文化継承が必要。文化の危機に直面している。チベット族の不安の理由にはある現実があった。中国公民として意識を高めるために、家庭では使われない中国語での教育が行われている。中国語を話せれば就職に有利だと考える若者たちも増えている。一方で、チベット独自の言葉を守ろうとする会も行われている。プンツォが学生の前に立って教える。中国でチベット語を読み書きできるチベット族は3割程度だと言われている。チベット語を正確に発音できなかったり文法の基礎レベルが低い。

ツェテン:一年ぶりに実家に戻った。標高4200mにぽつんと建つ一軒の家。チベット仏教の高僧写真が数多く掲げられていた。母親は出家して嬉しいという。ヤクを育てる遊牧民の家庭。家畜の殺生もせず、ヤクのミルクとバター、野菜を食べる質素な暮らしを続ける。肉を食べるのは罪。妹ユシィ:学校での成績がよく自転車を買ってもらった。ツェテンからお守りのカードを貰った。学校の教材は中国語で書かれていた。チベットの辺境地でも中国共産党が静かに進行を始めていた。

スローガン

修行僧の間にある言葉が広がっていた。「嵐を去るのを待て」と。プンツォは僧院の指示に従い、室内にこもって修行を続けていた。一人仏の経典と向き合っていた。人間社会には多くの誤りがある。認識が間違っているからだ。物の力で世界がより良くなるように祈っている。一ヶ月後、室内での修行の指示がようやく解かれた。

中国共産党の施策(直接的)

修行僧の家の破壊

2016年8月、僧院の観光地化が決められた。僧院の高僧が修行僧に向け訴えた。「私達は何もできない。権限は向こう側にあります。誰もが住まいを壊されたら怒り悲しみます。感情があれば誰でもわかる。以前のように平静を保って下さい。」チベット近くの共産党本部「心の中に民あり、心の中に等あり。人民のために奉仕する。」改善の動きは更に加速する。

チベットの来世への祈り

プンツォの実家帰り、年老いた両親が待っていた。山の谷間でヤクを追い仏教を信仰してきた。9人の兄弟の一人で15歳の時に出家した。72歳になった。両親は孫に囲まれ生きる。息子に出家を勧めたのは父親だった。「ラルンガルで法要した仏具を持ってきてくれ」と息子に頼んだ。チベット人は良き来世を願う。ラルンガルンゴンパはこの世と来世を繋ぐ場所。現世を生きた魂。仏に向けて儀式が行われる。

肉体から抜けた魂は暗い世界を恐れる。だから、教えを聞かせ再生への安らぎを与えるのだと。極楽浄土でよりより生まれ変われを祈願する「ポワの儀式」

良き来世に最も近いとされる鳥葬場(じょうそうじょう)、亡骸は小さく袋詰され、仏塔を回る。骨の一部が形見として遺族に渡される。チベットで受け継がれてきた儀式が始まった。ハゲタカに死んだ人の肉体を捧げる。「人が最も執着する、肉体を他者(ハゲタカ)に捧げます。ハゲタカは満腹になれば、他の命を傷つけません。死者は最後のお布施を行い、大きな功徳を積みます。」「すべては無で悪もない。苦も楽もない。世俗も解脱もない。私の身体を供物として鳥に捧げます。」現世で他者のために生き、来世で他者に生まれ変わる。再生の信仰。

<2019-12-01>
同じ2019年なのに、場所が変わればこんなに違う世界があるのか。